埼玉県公立高校入試の令和9年度変更点と対策法を徹底解説

埼玉県内で公立高校への進学を夢見ている中学生の皆さんにとって、令和9年度(2027年度)の入試は、先輩たちの時とは全くルールが異なる「新しい挑戦」になります。これまで埼玉県が大切にしてきた記述力を重視する姿勢は残しつつ、より公平で、かつ皆さんの個性や意欲を多角的に見るための仕組みへと進化します。

今回の変更の柱は、全教科へのマークシート方式の導入、全員必須の面接、そして内申書の形式変更の3点です。これらはバラバラにあるのではなく、「皆さんが主体的に学び、自分を表現する力を持っているか」という一つの大きな目標に向かって設計されています。情報の有無がそのまま合否を左右する、非常に重要な変化と言えます

新制度では、テストの点数だけでなく、面接での受け答えや、事前に提出する「自己評価資料」の内容が合否の鍵を握ります。部活動や資格の実績が直接点数化される仕組みはなくなりますが、それらをどう自分の成長につなげたかを自分の言葉で語る力が、これまで以上に高く評価されるようになります

この記事では、埼玉県教育委員会が発表した最新の「実施要項」に基づき、中学生の皆さんが今からできる具体的な対策をまとめました。マークシートでのケアレスミスを防ぐ方法から、自分だけの自己PRを作るコツまで、合格を勝ち取るためのエッセンスが詰まっています。このガイドを味方につけて、自信を持って受検勉強を進めていきましょう。

埼玉の高校入試における令和9年度からの主要な変更点と基本方針

全教科へのマークシート導入と「1割の記述」

令和9年度(2027年度)の学力検査から、国語、社会、数学、理科、英語の全5教科でマークシート方式が全面的に導入されます。テストの点数のうち約90%がマークシートで答える問題、残りの約10%が思考力を問う記述式問題という構成になります。この変更により、これまでの「記号を自分で書く」形式から「正しい場所を塗りつぶす」形式へと変わります。

マークシートの導入で最も注意すべきは、部分点がもらえない「0点か満点か」という厳しさです。1問ずれて塗ってしまう「段ずれ」や、消しゴムの消し残しによる読み取りエラーが起こると、実力があっても得点になりません。普段の模試や定期テストから、正確にマークを塗りつぶし、最後に見直しをする習慣をつけることが、学力アップと同じくらい重要になります。

解答用紙はA4サイズの表裏一体型で、表面がマーク欄、裏面が記述欄になる予定です。特に数学の「図形の証明」や「式の説明」といった記述問題は裏面にしっかりと書くことになるため、試験時間内に表と裏を使い分ける時間配分の練習も欠かせません。マークシート化されても問題の難易度自体は変わらないと発表されているため、油断は禁物です

この改革は、皆さんが将来受ける大学入学共通テストを見据えたものでもあります。単なる知識の暗記ではなく、複数の選択肢の中から「なぜこれが正解なのか」を論理的に見つけ出すトレーニングが必要です。学校の授業でも「根拠を持って選ぶ」という姿勢を大切にすることが、マークシート試験を攻略する第一歩となります

全受検生を対象とした「全員面接」の義務化

令和9年度入試の最も大きなトピックスの一つが、すべての受検生に課される面接試験です。これまでは一部の学校だけで行われていましたが、新制度では全県一斉のルールとして、全員が面接会場に向かうことになります。入試の日程も、1日目に筆記テスト、2日目に面接が行われる2日間(実技がある場合は3日間)のスケジュールに変わります。

面接は、高校が「個人面接」か「集団面接」のどちらかを選んで実施し、時間は受検生1人あたり10分程度となります 。ここで試されるのは、流暢な喋り方ではありません。埼玉県教育委員会は「話し方の上手さではなく、自分らしさを表現することを尊重する」と明言しています。自分のこれまでの経験や、高校で何をしたいかを自分の言葉で誠実に伝えることが評価につながります。

面接の配点は基本30点(高校により60点などに加算可能)となっており、合格ラインに多くの受検生が並ぶ公立入試では、この数点の差が合否を分ける決定打になります。特に、不登校などの経験がある生徒にとっても、面接は自分の意欲や現在の状況を直接先生に伝え、前向きに評価してもらえる貴重なチャンスの場として機能します。

面接の練習は中3の冬からで十分と思われがちですが、実は日頃の挨拶や、自分の考えを大人と話す習慣が一番の対策になります。面接官は皆さんの「主体性」や「協働性」を見ています。学校の行事や委員会活動などで、仲間とどう協力し、どんな課題を乗り越えたかといった日常のエピソードを大切に蓄えておきましょう。

内申書の簡略化と「自己評価資料」の役割

令和9年度入試から、調査書(内申書)の形式が大幅に変わります。これまで得点化されていた部活動の実績、生徒会活動、英検や漢検などの資格欄、そして欠席日数の記載が調査書からなくなります。調査書の評価対象は、原則として「9教科×5段階=45点満点」の評定と「総合的な学習の時間の記録」のみという、非常にシンプルな形になります

しかし、部活動や資格が無意味になったわけではありません。これらの実績をアピールするために、受検生自身が作成する「自己評価資料」を提出することになりました。先生に書いてもらった書類で評価される受動的な仕組みから、皆さんが自分の歩みを自ら言語化して、高校の先生にプレゼンテーションする能動的な仕組みへと転換したのです

自己評価資料は直接点数にはなりませんが、面接の際の「最重要資料」として先生がじっくり読み込みます。皆さんが資料に書いた「努力したこと」や「将来の夢」をもとに面接が進むため、この資料の出来が面接の評価を左右すると言っても過言ではありません。箇条書きやメモ形式でも良いため、等身大の自分を表現することが求められます。

この変更により、中学生の皆さんには「自分を見つめ直す力(自己分析力)」が必要になります。これまでの活動で何を感じ、どう成長したのか。それを言葉にする練習は、入試対策というだけでなく、皆さんの将来にとっても大きな財産になります。学校の先生や家族と一緒に、自分の良さを発見する時間を今のうちから作ってみましょう

多様性を支える特別な配慮と選抜枠

新しい入試制度は、不登校の経験がある生徒や海外から帰国した生徒、障害がある生徒など、多様な背景を持つ皆さんに対しても公平なチャンスを提供します。例えば、不登校などで調査書の評定が十分でない場合でも、面接での意欲や特別な選抜枠を通じて、今の実力と未来への希望を正当に評価してもらえる仕組みが整えられています。

障害や病気などでマークシートの解答が難しい場合には、点字や代筆、時間延長といった配慮を申請することができます。また、インターネット出願の際にも、これらの配慮が必要な旨をスムーズに伝えられるシステムになっています。受検生一人ひとりが、自分の持っている力を最大限に発揮できるよう、ハードルを取り除く努力がなされています。

不登校期間中に自分で進めてきた学習や、海外での異文化体験などは、面接や自己評価資料において素晴らしい「強み」になります。つらい体験をどう乗り越えようとしているか、新しい環境でどう自分を変えたいか。その「一歩踏み出す勇気」は、これからの社会で最も必要とされる資質の一つとして、高く評価されるはずです。

受検に関して不安や悩みがある場合は、早めに中学校の先生や、志望校の先生に相談をしてみてください。埼玉県は「全ての子供たちの学びを止めない」という方針を掲げており、入試改革もその思いから生まれています。一人で悩まず、制度を味方につけて、自分にぴったりの道を見つけ出していきましょう。

学力検査のマークシート化に対応する埼玉の高校入試に向けた令和9年度の教科別勉強法

国語:作文廃止と「精密な読解」へのシフト

国語において最大の変更点は、これまで配点の大きかった「200字作文」が完全になくなることです。また、漢字の書き取り問題の一部が「選択式」に変更されることも発表されています。これにより、文章を書く負担は減りますが、その分、読解問題の選択肢がより精緻(正確で細かい)になり、なんとなくの理解では正解できない「思考力型」の設問が増えることが予想されます

対策として最も重要なのは、本文中の言葉と選択肢を「一字一句照らし合わせる」トレーニングです。マークシート方式では、少しでも意味がズレている選択肢はすべて不正解になります。これまでの「自分の言葉でまとめる」練習から、本文の中に書かれている「正解の証拠」を素早く見つけ出し、消去法で間違いを確実に削るスキルを磨きましょう

漢字についても、ただ書けるだけでなく、文脈に合った正しい熟語を選んだり、漢字の成り立ちや構成を理解したりする深い知識が問われます。作文がなくなることで試験時間に余裕ができるかもしれませんが、その余裕を選択肢の吟味や見直しに充てることが、高得点への分かれ目になります。記述が1割残るため、文章の要約や構成を問う問題には引き続き記述で対応できる力が必要です

表:国語の変更点と攻略ポイント

項目 令和9年度の内容 対策の方向性
作文問題 廃止

読解スピードの向上と選択肢の吟味に集中

漢字問題 書き取りから選択式

熟語の意味と同音異義語の正確な判別

読解問題 ほぼマークシート

本文中の根拠(キーワード)の特定を徹底

記述問題 全体の約1割(裏面)

文章の論理構成を説明する力を磨く

数学:数値マーク方式と「計算ミス」の致命傷

数学のマークシート導入において、皆さんが最も意識すべきは「数値マーク方式」です。これは記号を選ぶだけでなく、大学入学共通テストのように、計算して出た答えの数字をそのまま塗りつぶす形式です。これにより、計算過程が合っていても最後の1桁を間違えただけで0点になってしまいます。部分点が期待できないため、これまで以上に「正確な計算力」が合否を直結させます。

一方で、記述問題として残るのが「図形の証明」や「式の説明」です。解答用紙の裏面に自分の思考のプロセスを論理的に書くことになります。多くの受検生がマークシートの練習に偏る中で、この数少ない記述問題で完答できる力が、上位校合格への大きなアドバンテージとなります。マーク式と記述式、この二つの頭の使い分けを練習しておくことが大切です

具体的な勉強法としては、普段の計算練習から「途中式をきれいに、整理して書く」ことを徹底してください。マークシート本番では、自分の汚いメモ書きのせいで数字を読み間違え、マークミスを誘発することがよくあります。また、関数や確率などの問題で、前の方の答えを使って次を解く「連動型」の問題も予想されるため、最初の一歩でのミスを防ぐ慎重さが求められます

表:数学のマークシート対策・要点

分野 形式 対策のコツ
計算・一行問題 数値マーク・選択

暗算を避け、確実に得点源にする

関数・確率 数値マーク

誘導に乗って、一歩ずつ正解を導く

図形の証明 記述式(裏面)

論理の飛躍がない丁寧な記述を心がける

作図 定規・コンパス使用

正確な作業と、その根拠を理解する

英語:リスニングの安定と「並べ替え」の精度向上

英語の試験では、リスニングテストの配点が引き続き大きな割合を占めて継続されます。リスニングはもともと選択式が多かったため、マークシートへの移行はスムーズですが、音声が一度しか流れない中で正確にマークを塗りつぶす「並行作業」の能力が試されます。毎日10分でも英語の音声を聞き、メモを取りながら内容を即座に判断する練習を積みましょう

筆記試験では、英文を正しい順番に並べる「整序問題」が重要な得点源になります。並べたあとに、指定された場所(例えば2番目と4番目)に来る語句の記号を選んでマークする形式です。これは文法(五文型など)の完璧な理解がなければ、なんとなくで正解するのは不可能です。記述式の英作文については形式が検討中ですが、より構造が明確な記述問題に整理される可能性があります

英語のマークシート対策の鍵は、語彙力と判断スピードの両立です。スペルミスによる失点は減りますが、代わりに長文の中から必要な情報を素早く抜き出す「スキャン能力」が問われます。英検の準2級や3級のような、マーク式の問題集を活用して、紛らわしい選択肢に惑わされない「パラフレーズ(言い換え)」への対応力を育てていきましょう

表:英語の学習優先順位と対策内容

セクション 形式 重点的にやるべきこと
リスニング 継続(マーク)

毎日英語を聞き、要点を捉える練習

長文読解 選択式(マーク)

キーワードの言い換えに注意して読む

文法・整序 選択・記号マーク

並べ替えパターンの習得と基本文法

記述・作文 一部記述(裏面)

条件に合わせた正確な英文作成

社会・理科:図表読み取りと「完答」の意識

社会と理科は、従来から記号で答える問題が多かったため、マークシート化による変化が最も少ないと感じるかもしれません。しかし、その分1問あたりの重みが増し、ケアレスミスによる失点が順位を大きく下げてしまう「落とせない試験」になります。理科では、密度の計算やオームの法則など、計算結果を数値マークする問題が導入されるため、数学と同様の正確性が求められます

社会においては、歴史の年代順の並べ替えや、複数の統計資料から正しい分析を選ばせるなど、知識の丸暗記では太刀打ちできない「読み取り問題」が中心となります。記述式問題は全体の約1割に限定されるため、歴史的背景や地理的な要因を40字〜60字程度で端的に説明する、高配点な問題が裏面に用意されることが予想されます

理科・社会の共通の対策は、教科書の図、表、写真を隅々までチェックし、それぞれの関係性を自分の言葉で説明できるようにしておくことです。マークシートの選択肢には、「常に」「すべて」「のみ」といった極端な表現を使って皆さんのミスを誘うひっかけ問題も出没します。冷静に事実と照らし合わせ、最後まで選択肢を読み切る慎重さを養いましょう

表:社会・理科の注意点と攻略法

教科 特徴 対策のヒント
社会 資料活用問題が中心

統計の読み取りと歴史の因果関係

理科 実験結果と計算の融合

計算ミスをゼロにし、実験の理由を覚える

共通 記述は約1割(裏面)

記述欄への書き忘れを絶対にしない

調査書と内申点の評価システムが激変する埼玉の高校入試の令和9年度基準

9教科評定の純粋評価と「平常点」の重み

令和9年度入試の大きな変更点として、調査書(内申書)から部活動の実績や資格、委員会活動による加点枠がなくなることが挙げられます。これまでは「テストの点はそこそこだけど、部活で県大会に行ったから加点されて合格した」というケースがありましたが、新制度では調査書の得点は原則として「9教科×5段階評価」のみで算出されます

この変更により、毎回の定期テストや提出物、授業態度といった「平常の取り組み」の重みがこれまで以上に増すことになります。5教科だけでなく、音楽、美術、保健体育、技術・家庭といった副教科でもムラなく高評価を維持することが、合格へのスタートラインに立つための絶対条件になります。苦手教科を放置せず、日々の学習管理を徹底することが求められます

しかし、皆さんが部活動や資格取得に注いだ努力が無駄になるわけではありません。これらの実績は、面接の際に自分の強みとしてアピールするための「最高のエピソード」になります。加点という「結果」ではなく、その活動を通じて何を学び、どう成長したかという「中身」を、面接官が直接評価する仕組みへと進化したのです

表:調査書の評価対象項目の変化

項目 令和8年度まで 令和9年度から
学習の記録(内申点) 9教科5段階(得点化) 継続(唯一の主要得点源)
特別活動等の記録 部活・生徒会など(加点) 削除(面接で評価)
その他の項目 英検・漢検などの資格(加点) 削除(面接で評価)
出欠の記録 欠席日数など(参考)

削除(記載なし)

志望校選びの鍵を握る「学年比率」の選択

共通選抜において、各高校は中1、中2、中3の成績をどのような比率で足し合わせるかを、あらかじめ決められた3つのパターンから選択します。具体的には「1:1:1」「1:1:2」「1:1:3」のいずれかです。どのパターンでも中3の成績が最も重視される(または他学年と同等)ようになっていますが、高校によって「1年生からの努力」をどう見るかが異なります。

例えば、中1や中2の頃に思うような成績が取れなかった人でも、「1:1:3」を採用している高校を選べば、中3での頑張りによって点数を大きく挽回できるチャンスがあります。逆に、1年生からコツコツと安定した成績を収めている人は、「1:1:1」の高校を選ぶことで、過去の蓄積を有利に活かすことができます。

表:学年比率による得点計算のイメージ(1:1:3の場合)

学年 成績合計(最大45) 比率(倍数) 計算後の持ち点
第1学年 40 ×1 40点
第2学年 42 ×1 42点
第3学年 44 ×3 132点
合計 214点

この合計点(基本点)は、さらに高校の判断で200点、300点、400点などの「調査書得点」へと換算されます。志望校がどの比率を採用しているかは、毎年12月頃に公表される「選抜基準」という資料で必ず確認してください。自分の強みが最も活きる学校を選ぶことも、立派な受験戦略の一つです

第1次選抜と第2次選抜での「逆転のチャンス」

埼玉県の公立高校入試には、一度のテストで「第1次選抜」と「第2次選抜」という2段階の判定が行われるという特徴があります。令和9年度においても、第1次選抜では募集定員の60%〜80%を選抜し、そこではテストの点数と内申点をバランスよく評価します。しかし、残りの枠を決める第2次選抜では、多くの高校が評価の配分を劇的に変更します。

特に上位校や進学校の多くは、第2次選抜においてテスト(学力検査)の配点比率を7割〜8割まで高め、内申点の比重を相対的に下げます。これは、「中学校の成績は少し足りなかったけれど、受検当日に圧倒的な力を示した人」を合格させるための救済枠でもあります。この仕組みを理解していれば、内申点のハンデを当日の試験で跳ね返す「逆転合格」が十分に狙えます。

表:選抜段階ごとの評価比率の例(進学校タイプ)

選抜段階 選抜される割合 重視されるもの
第1次選抜 60%〜80%

テストと内申のバランス重視

第2次選抜 残り全員

当日のテストの点数を極めて重視

特色選抜 一部の定員

高校独自の評価基準(傾斜配点など)

自分の志望校が、第1次の割合を「60%」に絞っているか、あるいは「80%」と広く取っているかを確認してみましょう。60%に絞っている学校は、第2次の逆転枠が40%もあるため、最後まで諦めずに学力を伸ばし続けた受検生にとって有利な環境と言えます。偏差値だけでなく、この「選抜の癖」を知ることが、合格率を大きく左右します。

全員義務化の面接と自己評価資料で合格を掴む埼玉の高校入試の令和9年度対策

面接試験の心構えと「評価されるポイント」

令和9年度から始まる全員必須の面接は、基本30点満点の得点として合否判定に組み込まれます。学力検査の100点に比べれば小さく見えるかもしれませんが、合格ラインの数点差で順位がひしめき合う中では、この30点の有無が合否を分ける非常に重い存在になります。評価の大きな柱は、「主体的・協働的に学ぶ意欲」と「自分の人生を切り拓こうとする姿勢」の2点です。

面接官が見ているのは、丸暗記した回答を完璧に読み上げることではありません。むしろ、自分自身の体験に基づいた「具体的なエピソード」を、自分の言葉で一生懸命に話そうとする姿勢が高く評価されます。失敗した経験があっても構いません。「失敗から何を学び、次へどう活かそうとしたか」という前向きなプロセスこそが、高校の先生が最も知りたい部分なのです。

まずは、挨拶や入退室のマナー、座り方などの基本動作を、意識しなくても自然にできるように練習しましょう。その上で、想定される質問(志望動機、中学での思い出、高校での抱負)に対して、「なぜそう思ったのか」という理由を付け加える練習をしてください。面接は「対話」ですので、先生の目を見て、誠実に応答することが合格への近道です

表:面接で高く評価される応答のコツ

良い例(プラス評価) 注意すべき点(マイナス評価)

自分の具体的な実体験を話す

どこかで聞いたような模範的な回答

質問に対して結論から簡潔に答える

話が長く、何が言いたいか伝わらない

失敗から得た学びや気づきを話す

自分の実績や成功談だけを並べる

面接官の質問に誠実に応答する

暗記した文章を思い出しながら話す

自己評価資料:面接の成功を左右する「設計図」

自己評価資料は、出願時に皆さんが自分で記入して提出する書類です。直接の得点にはなりませんが、面接の際に先生がこれを読みながら質問を考えるため、いわば面接の「設計図」と言えます。ここには、部活動や委員会での努力、資格取得、ボランティア活動、将来の夢などを自由に書き込むことができます

書くときのコツは、「事実(何をしたか)」だけでなく、「動機(なぜそれをしたか)」と「変化(その経験で自分はどう変わったか)」の3つをセットにすることです。例えば、「英検3級に合格した」と書くだけでなく、「将来海外の人と関わりたいと思い、毎日寝る前の15分間を学習に充てて合格した。この継続力を高校でも活かしたい」と書くことで、あなたの魅力が何倍にも伝わります。

資料はメモ書きや箇条書きでも認められています。あまり難しく考えすぎず、「これまでの自分をどうプレゼンしたいか」を考えてみましょう。作成するプロセスそのものが、自分自身を深く知る機会になり、それがそのまま本番の面接での自信につながります。学校の先生や家族に読んでもらって、客観的な意見をもらうのも良い方法です

表:自己評価資料に盛り込むべき構成案

構成要素 具体的な内容のヒント
中学での活動

部活、生徒会、掃除、行事など。力を入れたことは?

学校外での活動

地域ボランティア、習い事、趣味の探究など

資格・特技

英検、漢検、数検、スポーツの記録、自分の強み

将来のビジョン

高校で学びたいこと、将来の職業の夢、目標

特色選抜における「作文・小論文」の攻略

一部の高校で行われる「特色選抜」では、独自の試験として「作文(小論文)」が課されることがあります。学力検査の国語から作文がなくなった分、ここではより本格的な「書く力」が試されます。試験時間は30分〜60分、文字数は600字〜1000字程度となることが多く、特定のテーマに対して自分の考えを論理的に組み立てる力が必要です

作文・小論文の評価で最も見られるのは、文章の「構成」です。「序論(自分の主張)・本論(理由と具体例)・結論(まとめ)」という型をしっかり守り、読み手にストレスを与えない文章を書く練習をしましょう。どれだけ素晴らしいアイデアがあっても、文章が支離滅裂だと、思考力が不足していると判断されてしまいます。

対策としては、日頃から新聞の社説を読んだり、ニュースに対して「自分ならどう考えるか」を200字程度でまとめる短文練習から始めるのがお勧めです。慣れてきたら、指定された時間を計って、原稿用紙の正しい使い方(段落分けや句読点など)を意識して書ききる訓練を重ねましょう。特色選抜を導入する高校は限られているため、志望校の募集要項を早めにチェックすることが重要です

表:特色選抜の作文(小論文)対策のポイント

チェック項目 具体的な注意点
論理構成

自分の意見を支える「具体的な根拠」があるか

文字数管理

指定文字数の8割以上を書き、枠内に収めているか

時間配分

構成メモに5分〜10分を使い、余裕を持って書き終える

言葉遣い

文末は「だ・である」で統一し、敬語のミスがないか

面接と学力検査の「2日間耐久レース」に備える

令和9年度入試からは、全員が筆記試験の翌日に面接を受けることになります。具体的には、2月25日(木)に5教科の学力検査を受け、その興奮も冷めやらぬ翌日の2月26日(金)に、受検校で面接が行われます。これまでのように「試験が終わった日の午後に遊びに行く」というわけにはいきません。この2日間の集中力を維持するスタミナが求められます

スケジュール管理としては、1日目の学力検査が終わった後は、自己採点をして一喜一憂するのではなく、早めに帰宅して脳と体を休めることが大切です。翌日の面接に備えて、提出した「自己評価資料」の内容を再確認し、面接で話したいキーワードを整理して22時には就寝しましょう。この「コンディション管理」ができるかどうかが、面接での笑顔やハキハキとした受け答えにつながります

また、3月1日(月)には一部の高校で実技検査や作文検査(特色検査)が行われます。特色選抜を受ける人は、最大で3日間にわたる長期戦になります。一つひとつのハードルを乗り越えるたびに、気持ちをリセットして次の検査に集中する「メンタルの切り替え」を、今のうちからスポーツや日々の勉強の中で意識的に練習しておきましょう

表:令和9年度入試・本番のタイムスケジュール

月日 実施内容 心構えとアクション
2/25(木) 学力検査(5教科) 集中力を出し切る。終了後は即帰宅して休養
2/26(金) 面接(全受検生) 制服を整え、誠実な姿勢で対話に臨む
3/1(月) 特色検査(実技・作文) 特色選抜志願者のみ。最後の一踏ん張り
3/5(金) 合格発表 Webサイトで確認。合格者は資料受け取りへ

共通選抜と特色選抜の仕組みを使い分ける埼玉の高校入試の令和9年度志望校戦略

志望校選びの新しいモノサシ:配点比率の読み解き方

これからの志望校選びで最も大切な資料は、各高校が発表する「選抜基準」です。ここには、テストの点数、内申点、面接の点数をそれぞれ何%の割合で評価するかが明記されています。例えば、学力検査(テスト)の比重が70%以上の高校は「当日の実力重視校」、調査書(内申点)の比重が50%に近い高校は「3年間のコツコツ努力重視校」と判断できます

自分のこれまでの成績と、これからの伸びしろを冷静に分析して、自分に最も有利な配点の高校を戦略的に選ぶことが、合格の可能性を劇的に高めます。偏差値が同じ55の学校であっても、ある学校はテスト重視、別の学校は面接・内申重視といった「個性」があります。自分がどちらのタイプで輝けるかを見極めることが、新しい入試制度での必勝法です。

本日、2026年5月11日に発表された最新データによると、一部の高校では既に具体的な配点比率を公開しています。例えば、上位の進学校の中には、第2次選抜で学力検査の比率を極限まで高め、逆転合格を積極的に受け入れようとする姿勢を見せている学校もあります。保護者の方と一緒に、複数の候補校の「選抜基準」を横並びで比較する時間を作りましょう

表:選抜基準から見る「高校の求める生徒像」

特徴的な配点 高校のメッセージ 向いている受検生
学力検査 70%以上 高い処理能力と応用力がほしい

テストの得点力がある、逆転を狙う層

調査書 45%以上 真面目な学校生活を評価したい

定期テストや提出物を大切にしてきた層

面接 15%以上 主体性や表現力、適性を見たい

自己PRが得意、部活動等で活躍した層

特色検査(実技等) 専門的な才能を伸ばしたい

特定の特技や専門分野の夢がある層

浦和・大宮など上位22校で実施される「学校選択問題」

偏差値の高い上位校を目指す皆さんにとって、避けては通れないのが数学と英語の「学校選択問題」です。令和9年度においても、浦和、浦和第一女子、大宮、川越、春日部、蕨など合計22校において、より難易度の高い応用問題が出題されることが決定しています。これらの問題もマークシート方式が導入されますが、内容はこれまで通り高度な思考力が求められるものになります。

学校選択問題は、基本問題が1問もない「すべてが勝負所」のような試験です。マークシート化されることで解答の選択肢は示されますが、その選択肢自体が非常に紛らわしく作られるため、正確な解法を身につけていないとマークを塗り間違えることになります。上位校を目指すなら、今のうちから基礎を完璧にした上で、複雑な文章題や図形問題を論理的に解く「スタミナ」を養っておきましょう。

また、特色選抜を導入する学校では、特定の教科の点数を1.5倍や2倍にする「傾斜配点」が導入されることがあります 。例えば、数学が抜群に得意なら、数学に傾斜配点をかけている高校を狙うことで、苦手科目のビハインドを完全に打ち消すことができます。本日発表された暫定リストによると、県立浦和高校は数英を1.5倍、浦和一女は2次選抜で数英を2倍にするなどの戦略を公表しています。

表:学校選択問題を採用する代表的な22校

区分 主な採用校
男子校・女子校 県立浦和、浦和第一女子、川越、川越女子、春日部、熊谷、熊谷女子
共学校(上位) 大宮、蕨、越谷北、所沢北、不動岡、和光国際、浦和西
共学校(中堅〜上位) 越ケ谷、川口北、熊谷西、所沢、川越南
市立高校 市立浦和、市立大宮北、川口市立

実業系・専門学科での「輝く個性」の評価

農業、工業、商業、美術、音楽、スポーツなどの専門学科を目指す皆さんにとって、令和9年度からの「特色選抜」は自分の夢を叶えるための強力なバックアップになります。これらの学科では、学力テストの点数だけでなく、その分野への適性や熱意を評価する「実技検査」や「高い配点の面接」が中心となります

例えば、美術系学科のデッサンや、スポーツ系学科の技能テストなどは「特色検査」として位置づけられます。また、最新の情報によると、三郷北高校のように普通科でありながら新たに「作文(小論文)」の特色検査を導入して、書く力を評価しようとする学校も現れています。自分の得意分野がどのように評価されるのか、各高校の最新情報を常にチェックしましょう

専門学科を志望する場合、自己評価資料には「なぜその道を志したのか」「将来どのようなプロフェッショナルになりたいのか」という熱いメッセージを込めてください。高校の先生方は、今は未完成でも、入学後に大きく成長しようとする意欲のある生徒を求めています。面接は、皆さんの「将来性」をアピールする最高のリハーサルの場になるはずです

表:専門学科における評価のポイント例

学科の種類 評価の重点ポイント 対策のアドバイス

工業・農業系

実習への意欲、作業の正確さ 面接で将来就きたい職業を明確に語る

商業・情報系

論理的思考力、PC等への関心

数学の論理問題やITニュースへの興味を持つ

芸術・美術系

表現力、感性、基礎技能

特色検査(実技)に向けた専門的な練習

スポーツ系

運動能力、リーダーシップ

部活動の経験を自己評価資料で強調する

滑り止め・私立併願との賢い組み合わせ

埼玉県公立高校入試は大きな変化の中にありますが、忘れてはならないのが私立高校との「併願」戦略です。公立入試は不確定要素が多いものですが、私立高校は1月下旬に入試があり、先に結果が出ます。多くの私立高校は以前からマークシート方式を採用しており、1月の私立入試を経験しておくことは、2月の公立本番に向けた絶好の練習台になります。

私立高校の「個別相談会」では、北辰テストの結果や内申点をもとに、合格の目安を確認することができます。公立高校が調査書から部活・資格の加点をなくす一方で、私立高校は依然として英検や生徒会活動を高く評価し、優遇措置を設けている学校が多いです。公立の志望校選びと並行して、自分の個性や実績をしっかり評価してくれる私立高校を1〜2校確保しておくことで、心に余裕を持って公立入試に挑めます。

また、令和9年度からはインターネット出願が完全義務化されますが、これは私立高校と公立高校で操作方法や締め切りが異なる場合が多いです。保護者の方と協力して、出願サイトのID管理や受験料の支払い期限、書類の郵送ルールなどを早めにリスト化しておきましょう。事務作業のミスで受検できないという事態を避けることが、最も確実な受検対策の第一歩です。

表:公立・私立併願の年間スケジュール管理

時期 公立高校への準備 私立高校への準備

10月〜12月

自己分析、自己評価資料の準備 個別相談会への参加、併願校の決定

1月下旬

インターネット出願開始

私立入試本番(合格の確保)

2月中旬

志願先変更の検討

入学金延納手続きの確認

2月25・26日

学力検査・面接(本番)

3月5日

合格発表・手続き (不合格時)私立への入学確定

インターネット出願と年間日程から逆算する埼玉の高校入試の令和9年度準備

インターネット出願:スマホで完了する新常識

令和9年度入試では、すべての受検生が「埼玉県公立高等学校入学者選抜電子出願システム」を使用して出願を行います。これまでの紙の願書は不要になり、スマホやパソコンからいつでも申請が可能です。まず11月1日から「アカウント登録」が始まりますので、中学校から配布される自分専用のURLや二次元コードを使い、保護者の方と一緒に早めに登録を済ませておきましょう

出願の際、最も気をつけたいのが「顔写真」のデータ登録です。この写真は受検票にそのまま印刷され、試験当日の本人確認に使用されます。スマホで自撮りする場合は、無地の背景で、制服を正しく着用し、帽子やマフラーを外して撮影する必要があります。画質が粗すぎたり、背景に生活感があったりすると再提出になることもあるため、早めに納得のいく一枚を用意しておきましょう。

表:インターネット出願の主な流れと注意点

ステップ 実施時期 失敗しないためのコツ

1. アカウント登録

11月1日〜

IDとパスワードを必ずメモして保存

2. 志願者情報入力

1月14日〜

住所の漢字や中学校名を正確に入力

3. 志願情報申請

1月26日〜

2月9日正午の締め切りを死守する

4. 受験料納付

出願と同時

コンビニやクレカ決済の完了メールを確認

5. 願書印刷・提出

2月12日〜 印刷した願書を中学校の先生に必ず渡す

システムでの入力が終わっても、出願は完了していません。印刷した願書を中学校に提出し、先生が高校へ書類を届けて初めて「受検票」が発行されます。デジタルとアナログの両方の手続きがあることを忘れず、中学校からの連絡を細かくチェックしてください。

北辰テストをフル活用した「マークシート&面接」対策

埼玉県の中学生に欠かせない北辰テストも、令和9年度入試に対応して大きく変化しています。既に全ての回でマークシート方式を導入しており、実際の入試にそっくりの解答用紙で練習することが可能です。知識を定着させるだけでなく、マークを塗るスピード感や、段ずれを防ぐ目の動かし方など、マークシート特有の「作法」を北辰テストで体に染み込ませましょう。

また、北辰テストが行われる会場での緊張感は、本番の学力検査や面接の予行演習としても最適です。試験の合間の休憩時間の過ごし方や、時間配分のシミュレーションを繰り返すことで、本番の心理的なプレッシャーを大きく軽減できます。偏差値の結果に一喜一憂するだけでなく、「どのマークミスで失点したか」「どこで迷ったか」を分析することが、得点力を爆上げする近道です。

さらに、北辰テストの結果は私立高校の個別相談でも重要ですが、令和9年度からは内申書の加点がなくなるため、この模試で「当日の得点力」を証明することがますます重要になります。マークシート形式にいち早く慣れることが、公立・私立双方の合格を確実に引き寄せるための、今すぐできる最強の対策です。

表:模試で確認すべきマークシート・チェックリスト

チェック項目 内容・目的

段ずれチェック

大問1つ解き終わるごとに、番号がズレていないか確認

塗りつぶし精度

枠からはみ出さず、かつ濃く均一に塗れているか

消しゴムの使い方

前の答えを跡形もなく消しているか(二重読取防止)

時間管理

最後に3分間、マークミスチェックの時間を作れたか

公式サイト「埼玉県教育委員会」をブックマークせよ

入試制度が変わる時期、最も信頼できるのはネットの噂ではなく埼玉県教育委員会の公式サイトです。特に本日発表された「確定版の実施要項」のように、重要な情報はPDF資料として公開されます。最新のニュースをチェックする癖をつけましょう

公式サイトの「選抜基準」のページでは、各高校がどのような比率で合否を決めるかの詳細データがダウンロードできます。また、「試作問題」のページでは、実際のマークシート解答用紙のサンプルや、新しい形式の問題例を見ることができます。これらを印刷して、本物の入試と同じ雰囲気で一度解いてみることは、どんな参考書よりも価値のある対策になります。

情報の更新タイミングは、5月(実施要項発表)、10月(暫定版更新)、12月(選抜基準確定)が山場です。親子で正確な情報を共有し、「我が校の戦略」を練りましょう。不安になったときは、在籍している中学校の進路指導の先生に相談するのが一番です。先生方も皆さんの合格を全力で応援しています。

表:保護者と受検生がチェックすべき公式サイト・SNS

情報源 主な役割 確認頻度の目安

埼玉県教育委員会HP

日程、出願システム、試作問題

週1回

各志望校の公式サイト

選抜基準、学校説明会の日程

月1回

県立学校人事課サイト

インターネット出願の詳細ガイド

出願前(11月〜)

公式ニュースリリース

倍率速報、緊急の変更案内 入試直前期(2月)

新しい埼玉の入試は、マークシート化によって「正確さ」が、全員面接によって「主体性」が試されるようになります。変化はチャンスです。このガイドを参考に一歩ずつ準備を進めれば、道は必ず拓けます。皆さんの努力が、令和9年3月5日の合格発表で大きな花を咲かせることを、心から願っています。

まとめ|埼玉県公立高校入試の令和9年度変更点と対策法を徹底解説

  • 全5教科でマークシート方式を導入。約9割がマーク、約1割が記述式になります
  • 国語の作文問題が廃止。漢字も選択式が増え、より正確な読解力が問われます
  • 数学は計算結果を直接塗る「数値マーク方式」が登場。計算ミスは即失点です
  • 全受検生に「全員面接」を実施。筆記試験翌日の2月26日が面接日です
  • 内申書から部活・資格の加点が削除。平常の成績(9教科評定)が重要になります
  • 自分で自分をアピールする「自己評価資料」を出願時に提出。面接の資料になります
  • 「共通選抜」と「特色選抜」の2コース制。高校ごとに評価の癖があります
  • 内申点の学年比率が高校ごとに選択制に。中3の成績が最も評価されます。
  • 出願はスマホやPCからインターネットで。11月1日からアカウント登録が可能です
  • 北辰テスト等の模試をフル活用し、マークシートの塗り方と面接の雰囲気に慣れましょう。