埼玉私立の確約基準

埼玉県で中学3年生を過ごす皆さんやその保護者の方にとって、高校入試を成功させるための最大のポイントは、埼玉独自の「確約(かくやく)」というルールを正しく理解することです。令和9年度(2027年度)の入試は、公立高校の試験内容が大きく変わる「改革の年」でもあります。そのため、私立高校の併願(すべり止め)をどう確保するかは、これまで以上に大切になっています。

埼玉県外の人はあまり知らないことですが、埼玉の私立高校には、入試本番の前に「合格の可能性がとても高いですよ」という約束を実質的にもらえる不思議な仕組みがあります。これが「確約」です。このルールがあるおかげで、受験生の皆さんは安心して第一志望の公立高校にチャレンジすることができます。令和9年度の受験生の皆さんは、新しい入試制度とこの確約をセットで考える必要があります。

この記事では、まず「確約ってそもそも何?」という基本からスタートして、どんな成績が必要なのか、高校の先生とどんなお話をすればいいのかを詳しく解説します。最新の公立入試の変更点(マークシートや面接の全員実施など)が、私立の入試にどう影響するのかについても、確かな情報だけをもとにまとめました。皆さんが進路を選ぶときの「地図」のような役割になれば嬉しいです。

受験という大きな壁を乗り越えるとき、一番怖いのは「知っていれば損をしなかったのに」という情報の見落としです。自分の頑張りがしっかりと評価されて、納得のいく高校選びができるように、最新の情報をたっぷり詰め込みました。特に令和9年度入試を受ける皆さんが、自信を持って一歩を踏み出せるような内容になっています。ここから、合格を勝ち取るための具体的な作戦を一緒に見ていきましょう。

埼玉県の私立高校における併願確約の基礎知識と制度の仕組み

「確約」って何?(埼玉独自の合格の約束)

埼玉県における私立高校の「確約」とは、入試本番を受ける前に、中学校の通知表(内申点)や北辰テストの結果を見て、高校の先生から「合格の可能性が非常に高いです」というお墨付きをもらう埼玉独自の慣習です。学校の募集要項などには「確約」という言葉は書かれませんが、秋に行われる「個別相談会」でこの約束をもらうことが実質的な合格への近道となります

このルールが続いているのは、受験生の皆さんが不安を抱えずに、思い切って第一志望の学校に挑戦できるようにするためです。私立高校側にとっても、早い段階で自分の学校に来てくれそうな生徒を知ることができるというメリットがあります。このように、学校と受験生の双方が助け合う形で運用されている特別な仕組みなのです。

確約をもらったからといって、入試がなくなるわけではありません。1月に行われる入試には、必ず出願して試験会場に行く必要があります。しかし、よっぽどのことがない限り、試験の結果だけで不合格になることはありません。白紙で答案を出したり、試験を欠席したり、面接で著しく悪い態度をとったりすれば不合格になることもありますが、普通に受検していれば合格は事実上保証されています

令和9年度入試でも「個別相談で約束をもらう」という流れは続きますが、注意点もあります。埼玉県は2025年秋に、テスト結果だけで合格を約束しすぎるのは良くないと私立高校へ通知しました。そのため、今後はテストの点数だけでなく、通知表や当日の試験、面接なども含めて「多角的」に判断されるようになります。これまで通り北辰テストは大切ですが、日頃の学校生活もしっかり送ることがより重要になります。

「単願」と「併願」の違いを知ろう

確約には、大きく分けて「単願(たんがん)」と「併願(へいがん)」の2種類があります。単願とは、その私立高校を第一志望とし、「合格したら必ずこの学校に入学します」という約束をして確約をもらうことです。高校側は、確実に入学してくれる生徒を歓迎するため、単願の基準は併願に比べて偏差値や内申点が低めに設定されることが多いです。

一方で「併願確約」は、公立高校などを第一志望にしている人が、「すべり止め」として合格を確保しておくために取るものです。併願の場合は、公立高校に合格したときには辞退するのが前提なので、高校側は単願よりも高いハードル(偏差値で2〜3くらい、内申で1〜2くらいプラス)を課すことが一般的です。

併願確約をしっかり取っておくことは、2月の公立高校入試に挑むときの大きな心の支えになります。1月の時点で「自分はここに行ける」という場所があるだけで、公立入試で少し難しい学校にも勇気を持ってチャレンジできるようになるからです。もし併願確約がないと、不合格への恐怖から、実力よりも下のランクの公立校に下げてしまいがちになります。

令和9年度入試を受ける皆さんは、早い時期に「単願で行くか、併願で行くか」を家族で相談しておくのがおすすめです。最近は埼玉の私立高校も大学合格実績がとても伸びていて、あえて第一志望として私立を選ぶ人も増えています。一方で、公立高校の新しい選抜方法に魅力を感じる人もいるでしょう。どちらを選ぶにしても、それぞれのメリットを理解しておくことが大切です。

個別相談会で使われる「魔法の言葉」

実際の個別相談会では、高校の先生が「はい、確約です」とはっきり言うことはまずありません。これは入試の公平性を守るための配慮なのですが、受験生側には先生の言葉を読み取る力が必要です。よく使われるのは「この成績なら、安心して受けてください」「当校を第一志望にしていただければ、合格の可能性はとても高いです」「基準は十分にクリアしています」といった表現です

もし先生からこのような「前向きな言葉」が出たなら、それは実質的に確約をもらえたと考えて大丈夫です。逆に、あと一歩足りない場合には、「あともう少しですね」「次の北辰テストでもう一度この偏差値を超えたら、また相談に来てください」といった具体的なアドバイスをくれます。これは「今のままでは約束できないけれど、頑張ればまだチャンスがあるよ」というサインです。

先生が生徒の名前をメモして控えたり、相談票にチェックを入れたり、何か「証明書」のような紙を渡してくれたりするのも、確約が記録された証拠になります。最近はインターネットで出願するときに、個別相談でもらった「相談番号」を入力させる学校も多いです。こうした手続きがあるかどうかをしっかり確認することで、確約を確実に手に入れたかどうかを判断できます。

令和9年度入試からは、公立高校で面接が全員に義務づけられるため、私立の個別相談も今まで以上に対話が重視されるかもしれません。ただ成績を見せるだけでなく、「なぜこの学校がいいと思ったのか」を自分の言葉で話せるようにしておくと、先生の反応ももっとハッキリしたものになるはずです。

これから変わる?デジタル併願のウワサ

令和9年度入試を控える中で、「デジタル併願制(DA方式)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、1回のテスト結果で複数の学校の合否を自動で決めてしまうシステムで、受験生の負担を減らすために議論されています。しかし、最新の情報では、埼玉県教育委員会はまだ「他県の事例を研究している段階」であり、令和9年度からいきなり全ての入試が変わるということは決まっていません

現在決まっている大きな変更は、公立入試で解答の約9割が「マークシート方式」になることや、全員が「自己評価資料」を提出して面接を受けることです。これをもって「デジタル併願が始まった」と勘違いしてはいけません。デジタル併願の導入には、埼玉特有の確約というルールをどう扱うかという難しい課題があるため、すぐに今の仕組みがなくなることはないと考えられています

そのため、令和9年度の皆さんは、これまで通り「北辰テストを受けて、個別相談に行き、確約をもらう」という流れで準備を進めるのが一番確実な作戦です。新しいシステムに期待しすぎるよりも、秋に一校ずつ足を運んで、先生と直接お話しして安心を積み上げていく方が、結果的には合格に近づく近道になります。

入試の形は少しずつ変わっていきますが、埼玉の「対面での対話を大切にする文化」はすぐには消えません。デジタル化が進むことで、むしろ情報がより正確に分かるようになるメリットもあります。皆さんは新しい情報をチェックしつつも、目の前の勉強と相談会での対話を大切にして、賢く受験を乗り切りましょう。

制度の種類 特徴 公立入試への影響
私立の確約

先生との相談でもらう合格の内約

公立へのチャレンジを支える安心感

デジタル併願

まだ研究・検討中のシステム

令和9年度入試では導入未定

マークシート

公立入試の約9割で導入

採点のミスが減り、効率が上がる

自己評価資料

全受験生が提出するアピール書類

自分の良さを面接で伝える土台になる

埼玉で私立高校を併願する際の成績基準となる内申点と偏差値の攻略法

通知表の「内申点」の見られ方

私立高校の併願確約をもらうために、まずチェックされるのが中学校の通知表の成績、つまり「内申点」です。多くの学校では、3年生の1学期、または2学期の成績を基準にします。具体的には、主要5教科(国数英理社)の合計や、副教科も含めた9教科の合計が、高校の決めた数字に届いているかどうかがポイントになります。上位の学校では「5教科で20以上」や「9教科で38以上」といった高い基準が求められることもあります

ここで特に気をつけてほしいのが「不合格条件(足切り基準)」です。たとえ合計点が高くても、1教科でも「2」があったり、特定の科目に「1」があったりすると、それだけで確約がもらえなくなることがあります。私立高校は「苦手なことからも逃げずに取り組む人」を求めているので、苦手科目をほったらかしにするのは併願戦略としては非常に危険です。

また、「出席日数」も厳しく見られます。多くの学校が「3年間の欠席が15日以内」といったルールを作っています。もし病気などの事情で欠席が多い場合は、理由をしっかり説明したり、改善していることを伝えたりする必要があります。令和9年度からは公立の調査書から欠席日数の欄が消えますが、私立の相談では引き続き通知表などを通じてチェックされる可能性があることを覚えておきましょう。

今の2年生(新3年生)の皆さんは、3年生の1学期の成績が最初の勝負です。もしこれまでの成績があまり良くなかったとしても、私立高校は「3年生になってからの頑張り」を評価してくれます。特に2学期で成績を上げることができれば、「高校でも伸びるやる気がある」と見なされて、確約をもらいやすくなります。日々の授業や提出物をしっかりこなすことが、確約への一番の近道です。

北辰テストが超重要!いつの結果を使う?

埼玉県の私立入試で、内申点と並んで合格を左右するのが「北辰テスト」の偏差値です。北辰テストは埼玉の中学生の約9割が受ける信頼できるテストなので、私立高校はこの結果を客観的な基準として重視しています確約の判定に使われるのは、主に中学3年生の「7月(第3回)から12月(第7回)」までの結果です

多くの私立高校では「上位2回分の平均」や「基準の数字を2回超えること」を条件にしています。例えば、偏差値60が基準の学校なら、10月が61で11月が59であれば、平均して60になるので確約が出る可能性があります。一度失敗しても、次の回で取り返せば大丈夫だというわけです。また、学校によっては「3教科(国数英)」の偏差値を重視してくれる場合もあります

判定に使える時期ですが、ほとんどの学校で9月以降の北辰テストがメインになります。夏休みに一生懸命勉強した成果が出るのがこの時期だからです。特に10月と11月のテスト結果は、個別相談会のピーク時期に重なるため非常に重要です。12月の第7回テストは、まだ基準に届いていない人にとっての「最後の大逆転チャンス」として活用されます

令和9年度入試からは、公立入試がマークシート方式になるため、北辰テストの形式もそれに合わせて変わっていくでしょう。私立高校の先生は、偏差値を単なる数字としてだけでなく、「この生徒はうちの授業についてこれる学力があるか」を測る道具として見ています。偏差値は「私はこれだけ努力できる人間です」ということを先生に伝えるための大事な証明書なのです。

コース別の基準と「スライド合格」

埼玉県の私立高校は、一つの学校の中にいくつかのコース(例:S類、特進、進学)があるのが一般的です。それぞれのコースで確約をもらうための基準(偏差値や内申点)が段階的に決まっています。この仕組みのおかげで、例えば「一番上のコースは届かなくても、進学コースなら確約がもらえる」というように、自分の実力に合わせた場所を確保することができます。

具体的には、栄東高校のようなトップ校では偏差値70前後が必要になりますが、浦和学院高校のような学校では、偏差値50前後から選べるコースもあります。ここで大事なのは、「併願」の場合は「単願」よりも偏差値で2〜3くらい、内申で1〜2くらい高い基準が求められるという点です。すべり止めとして確保するには、その学校の本来の難易度よりも少し高い学力が必要になることを覚えておきましょう。

また、「スライド合格」という仕組みも知っておいてください。これは、入試本番の点数がとても良かった場合に、確約をもらっていたコースよりも「上のコース」で合格させてくれる制度です。逆に、上のコースで確約をもらっていても、本番の点数が低すぎると下のコースでの合格になることもあります。個別相談のときに「スライド合格はありますか?」と聞いておくと、本番に向けたやる気もアップします。

令和9年度を受ける皆さんは、新しいコース(探究コースなど)のチェックも忘れずに。最近は、偏差値だけでなく「面接や英語」を特に重視するコースを作る学校も増えています。自分の得意なことが「テストの点数」なのか「対話や活動」なのかを考えて、自分に一番ぴったりのコースで確約を狙うのが賢いやり方です。

出席日数や態度のチェックポイント

確約をもらうための基準は「数字」だけではありません。出席日数は多くの学校でハッキリとチェックされます。もし3年間で休んだ日が15日を超えていると、相談のときに理由を聞かれることがあります。もし不登校などの経験があっても、3年生になってから頑張って通っていることを伝えたり、適応指導教室などの記録を見せたりすることで、先生が考慮してくれる場合もあります。

個別相談会当日の「態度」も、実はこっそり評価されています。先生は成績表を見ながら、「どうしてこの学校に入りたいの?」や「高校では何をしたい?」といった質問をします。このときに、元気にハキハキと答えられるかどうかは、先生に「この子は入学した後に伸びそうだな」と思ってもらうための大事なポイントになります。基準ギリギリのときは、あなたの熱意が最後の一押しになるかもしれません。

また、保護者の方の様子も見られています。個別相談は保護者と一緒に行くのが一般的ですが、保護者の方が学校の考え方を理解してくれているかどうかは、高校側にとって安心材料になります。説明会のパンフレットをよく読んで、気になることを質問してみるのも、学校への本気度をアピールする良い方法です。偏差値はすぐには変えられませんが、先生に与える印象は相談の場で磨くことができます。

令和9年度からは公立の面接が全員に課されるので、私立の個別相談はその「本番前の練習」だと思ってみてください。中3の秋までに、自分の得意なことや将来の夢を自分の言葉で言えるようにしておけば、私立の確約ももらいやすくなり、公立の面接対策にもなって一石二鳥です。数字という評価と、振る舞いという魅力を両方準備して、完璧な併願戦略を立てましょう。

評価される項目 基準の目安 注意すること
北辰偏差値

55 〜 72くらい (コースによる)

7月以降の良い結果を2回分用意

内申点(5教科) 18 〜 25 (満点は25)

3年生の成績が特に重視される

足切り基準

通知表に「1」や「2」がないこと

苦手科目も「3」以上をキープしよう

欠席日数

3年間で15日以内

休みが多い場合は理由を説明できるように

令和9年度入試に向けた個別相談会の流れと確約を勝ち取る準備

7月から始まる学校説明会:情報集めのスタート

確約をもらうための活動は、中学3年生の7月から本格的に始まります。最初にするべきことは、気になる私立高校の「学校説明会」に行くことです。ここでは、学校の教育内容だけでなく、その年の確約(個別相談)に必要な「偏差値や内申点の目安」が発表されることが多いです。パンフレットには載っていない「本当の基準」を知るための大切なチャンスです。

夏休みには「彩の国進学フェア」という大規模なイベントも開催されます。これは多くの学校を知るための「顔合わせ」の場であり、ここで具体的な確約が出ることは稀です。重要なのは、夏休みのうちに複数の学校に足を運び、自分の今の偏差値でどの学校のどのコースなら確約が狙えそうか、候補をリストアップしておくことです。これが秋に焦らないためのコツです。

説明会に参加するには、ほとんどの学校で予約が必要です。特に人気の学校はすぐに枠が埋まってしまうこともあるので、学校のホームページをこまめにチェックして、予約開始日を忘れないようにしましょう。確約を狙うなら、オンラインよりも実際に学校に行って先生とお話しする「対面形式」をおすすめします。令和9年度を受ける皆さんは、この「早めの行動」が成功の鍵になります。

もし夏の時点で基準に届いていなくても、ガッカリしないでください。私立の先生は「夏休みに頑張って、9月の北辰テストでこの偏差値を取って持ってきてね」といった具体的な目標を教えてくれます。夏の相談は確約をもらうためではなく、確約をもらうための「計画(ロードマップ)」を確認するためにあると考えて、前向きに参加しましょう。

秋の個別相談会が本番!合格の約束をゲットしよう

2学期になると、いよいよ「個別相談会」が本番を迎えます。ここでは北辰テストの成績票(北辰カード)や通知表のコピーを持っていき、先生と1対1でお話をします9月の北辰テストの結果が出た後から11月にかけてが一番混み合う時期で、毎週土日に違う高校を回る受験生もたくさんいます。この時期に確約を勝ち取れるかどうかが決まります。

個別相談の流れはシンプルです。受付で相談票を書き、順番が来たら先生の席に行きます。先生から成績の提示を求められるので、7月以降の北辰テストで良かった結果を提示します。先生は手元の基準表とあなたの成績を比べて、その場で合否の可能性を教えてくれます。基準をクリアしていれば、「安心して受けてください」という言葉(事実上の確約)がもらえます

もし10月に届かなくても、11月や12月までチャンスはあります。特に12月の最後の相談会は、12月初めの北辰テストの結果を持って行く「ラストチャンス」です。ここで逆転して確約をもらう人も多いので、最後まで諦めないことが大切です。この時期は中学校の先生との面談もあるので、私立でどこに確約をもらったかをしっかり伝えて、公立高校の受験について相談しましょう

令和9年度入試からは、公立の出願もデジタルになりますが、私立の個別相談はやはり「対面」が基本です。自分の成績という大事な情報を扱う場所ですが、最後は先生と直接話して安心をもらうという、埼玉らしいプロセスでもあります。相談会には清潔な制服で行き、相手の目を見てお話しするマナーを守ることで、「この生徒ならぜひ入学してほしい」と思ってもらえるようにしましょう。

相談会に持っていくべき「3種の神器」

個別相談会で確約を引き出すためには、持っていく書類がとても重要です。これらが足りないと、その場で判断してもらえないことがあります。必ず用意すべきなのは以下の3つです:

  1. 北辰テストの成績票(原本またはコピー):7月以降の全ての回を持っていくのが一番安心ですが、特に良かった2回分はすぐに見せられるようにしておきましょう
  2. 通知表のコピー:3年生の1学期分(および2学期の中間成績など)が必要です。1、2年生の分も聞かれることがあるので、一式揃えておくのが安全です
  3. 検定の合格証(コピー):英検、漢検、数検などの3級以上の証明書です。これが「ボーナス加点」として効いてきます

これらの書類はクリアファイルなどにきれいにまとめて、先生がすぐに見られるように整理しておきましょう。北辰カードに付箋を貼って「10月:偏差値65」といったメモを書いておくと、相談がスムーズに進んで先生にも喜ばれます。先生は1日に大勢の相手をしているので、分かりやすく準備している生徒は「自己管理ができる子だ」と良い印象を与えることができます。

また、さいたま市などで実施される「校長会テスト(市学力検査)」の結果も、判定に使ってくれる高校があります。もし北辰テストで失敗してしまっても、学校のテストで良い成績を取っていれば、それも持っていって相談してみる価値は十分にあります。「自分を評価してくれる数字は全部持っていく」という姿勢が、確約の確率をアップさせます。

令和9年度を受ける皆さんは、公立入試に出す「自己評価資料」の下書きも持っていくと良いかもしれません。私立の先生に「公立ではこういうアピールをする予定です」と話すことで、あなたの意欲をより深く理解してもらえて、基準ギリギリでもプラスの評価をしてくれる可能性があります。デジタルな時代だからこそ、紙の資料が持つ説得力をフルに活用しましょう。

終わった後にやるべきこと(記録と保管)

個別相談が終わったら、先生が最後に何と言ったかを正確にメモしておきましょう。はっきりした「確約」という言葉は使われませんが、事実上の合格なら、先生が相談票に印を押したり、特定の書類を渡してくれたりします。これが確約の証拠になります。学校によっては「受験お待ちしております」というメールが届くこともあります

学校によっては、「併願A」「併願B」といった記号で判定を伝えることもあります。例えば「併願A」なら私立の中での第一志望扱い、といった具体的な優遇があるため、自分がどのレベルで合格と言われたのかを正確に書き留めてください。曖昧なときは「それは合格が確実と考えてよろしいでしょうか?」と、思い切って再確認するのも良いことです

また、後日ハガキやメールで「相談結果のお知らせ」が届く学校もあります。これには冬にインターネットで出願するときに必要な大事な番号が載っていることもあるので、絶対になくさないように保管してください。中学校の三者面談でも「〇〇高校の確約をもらいました」と具体的に報告することで、先生も安心して公立高校への書類を作れるようになります

令和9年度入試は新しい制度への移行期で情報が混乱するかもしれません。一度もらった確約が「このまま出席日数を維持すること」や「通知表の成績を下げないこと」といった条件付きになっている場合もあります。もらった後はその条件をしっかり守って過ごしましょう。確約をもらった安心感を勇気に変えて、本番まで気を引き締めて頑張ってください。

相談会のステップ やること メリット
受付で名前を書く

自分の成績や頑張ったことを記入

先生が事前にあなたのことを分かってくれる
成績を見せて話す

北辰カード、通知表、検定証を提示

その場で「安心できる判定」がもらえる

加点の確認をする

検定や皆勤でオマケがあるか聞く

偏差値が少し足りなくても確約が出る可能性
書類を大切に保管

もらった書類や先生の言葉をメモ

冬の出願や中学校への報告が楽になる

埼玉の私立高校併願における加点制度と検定試験の有効活用

英検・漢検・数検で「ボーナスポイント」

埼玉県の私立高校入試では、英検、漢検、数検の3つの検定は、単なる資格以上の力を持っています。多くの私立高校が、これらの検定を持っている生徒に対して、内申点にプラスしたり、偏差値の基準を緩和したりする優遇制度を設けているからです。基本的には「3級以上」が対象ですが、上位校だと「準2級以上」が条件になることもあります

具体的には「英検3級なら内申点に+1、準2級なら+2」としてくれたり、「偏差値が基準より1足りなくても、英検準2級があればクリアと見なす」といったルールがあります。これは、検定試験のために自分で計画を立てて勉強したプロセスが、高校入学後の勉強にも役立つと評価されるからです。英語を頑張っている学校なら、英検の級が高いだけで「特待生」のチャンスが広がることもあります。

令和9年度入試では、公立高校の調査書から資格の記載欄がなくなります。でも、私立高校はこれまで通り検定をしっかり数値で評価してくれます公立入試では「面接で話すネタ」になる検定が、私立入試では「直接、合格基準を下げる魔法の杖」になるのです。中3の2学期までに準2級などを取っておけば、私立の併願確約をぐっと引き寄せることができます。

個別相談会には検定の合格証のコピーを必ず持っていきましょう。たとえパンフレットに詳しく書かれていなくても、相談のときに「英検準2級を持っています」と伝えると、先生の印象が良くなります。ボーダーラインにいるときに、検定があることで確約が出るケースもあるので、複数の検定を持っている人はすべてアピールしてください

部活や委員会も評価される?

勉強や検定以外にも、私立高校はあなたが中学校で頑張ってきた活動をちゃんと見てくれます。評価されるのは、部活動での県大会出場や部長・副部長の経験、生徒会役員、委員会の委員長などです。これらも内申点にプラスされることが多く、スポーツ推薦ではない一般の受検生にとっても、自分の多面的な魅力を伝えるための大事な材料になります

中でも「3年間休まなかった(皆勤)」という評価は、私立高校でとても高いです。私立高校は義務教育ではないので、毎日元気よく学校に来てくれる生徒を信頼します。「偏差値は少し足りないけれど、3年間ずっと休まず頑張ったね」ということで確約が出る学校もあります。令和9年度の公立調査書からは出席の記録が消えますが、私立の先生は通知表の欠席欄をチェックしているので、休まず通うことは大きな武器になります。

ほかにも、ボランティア活動や地域の行事、習い事の段位(書道やそろばんなど)が加点になることもあります。これらは直接偏差値を上げるわけではありませんが、同じくらいの成績の人が並んだときに、活動実績がある人が優先されることがあります。個別相談会には賞状や任命書のコピーを全部ファイルに入れて持っていき、自分の頑張りを余すことなく伝えましょう

令和9年度の皆さんは、これらの活動を「公立の面接で話すネタ」としてだけでなく、「私立の成績を補う道具」として二重に使いましょう。公立入試では直接の点数にならなくなると聞いてやる気をなくす人もいるかもしれませんが、私立高校にとっては、あなたの活動実績こそが「数値の壁」を突破するための心強い味方であり続けるからです

検定はいつまでに取ればいい?

併願を有利に進めるためには、検定の準備にタイムリミットがあることを知っておかなければなりません。一番のおすすめは早めに取っておくことです。「英検S-CBT」などのパソコンで受ける試験を使えば、頻繁に受験できます。中学3年生の10月までに準2級などを取得できれば、ほとんどの私立高校で強力な武器として使うことができます。

スケジュールの目安として、私立の個別相談が本格化する「9月」が最初の大きなポイントです。この時点で資格を持っていれば、最初の相談会でいきなり好条件をもらえるかもしれません。次のリミットは、最終的な確約が決まる「12月」です。11月までに受けた検定の結果が出るこの時期が、加点材料を揃えられる最後のチャンスです。1月になってから取っても、確約の判定には間に合わないことが多いので注意しましょう。

令和9年度の皆さんは、公立の面接準備も並行して進める必要があります。「面接で自分を表現するために検定を取る」という目標と、「私立の確約を確実にするために取る」という実利的な目標をセットにすると、勉強のやる気がもっと湧いてくるはずです。お父さんやお母さんと一緒に、どの検定をいつ受けて、それがどの学校の基準に効くのかを、戦略的に管理しておきましょう。

皆さんの毎日の頑張りや、休まず学校に行く姿勢は、決して無駄にはなりません。偏差値を1上げるのは大変ですが、検定や皆勤でオマケをもらうことで、手が届かなかった憧れの学校に一歩近づけるかもしれません。自分ができることをコツコツ積み上げて、最強の武器を持って個別相談会に挑んでください。

コースによって加点が違うので注意

加点制度を使うときに注意してほしいのが「どのコースで使えるか」です。私立高校の中には、進学コースでは検定の加点を認めるけれど、一番上の最上位コースでは「加点は一切認めない(純粋な偏差値だけで決める)」という学校があります。これは、上位コースに入る生徒には最初から高い学力を求めているためです。

また、内申点への加点には「上限」が決まっているのが普通です。例えば「英検準2級で+2、生徒会長で+1、皆勤で+1だけど、全部合わせても最大+2まで」というルールです。自分が持っている実績が全部足されるわけではないので、どの組み合わせが一番有利になるかを知っておく必要があります。詳しいことは個別相談会で「私のこの資格だと、全部で何点プラスになりますか?」と直接聞いてみるのが一番確実です。

偏差値への加点についても、多くの場合は「偏差値+1」程度の幅であることが多いです。偏差値が基準より大幅に足りない場合に、検定だけで逆転して確約をもらうことは難しいのが現実です。加点はあくまで「あと少しで基準に届きそう」というときに、最後の一押しをしてくれるものだと考えておきましょう。

令和9年度入試を受ける皆さんへのアドバイスは、「加点は保険であって主役ではない」ということです。まずは北辰テストでしっかり基準を超えることを目標にしつつ、もし届かなかったときのために検定などの加点材料を揃えておく。この二段構えの作戦が、一番安心して受験に臨める方法です。

検定や活動の内容 加点の一般的な目安 どこで効くか
英検準2級以上

内申+1〜2点 / 偏差値+1点

進学コースや英語重視のコース

英検・漢検3級

内申+1点

標準的な進学コース全般

3年間ずっと皆勤

内申+1点

ほぼすべての私立高校

部活で県大会以上

内申+1点

運動部が活発な学校

生徒会長・委員長

内申+1点

リーダーシップを評価する学校

令和9年度公立高校入試改革が埼玉の私立高校併願戦略に与える影響

「自己評価資料」が私立の相談にも役立つ

令和9年度(2027年度)から、埼玉県の公立高校入試では全ての受験生が「自己評価資料」という書類を提出します。これは、これまでの調査書に載っていた活動の記録が消える代わりに、自分で自分の頑張りや強みを文章にしてアピールする新しい仕組みです 。これが実は、私立の併願確約をもらうときにも非常に役立ちます。

この改革のおかげで、皆さんは「自分がどんな人間か」を考える準備を、例年よりも早く始めることになります 。公立入試のために自己評価資料をまとめるプロセスは、そのまま私立の個別相談で自分をアピールする練習になるのです。これまではただ成績表を見せるだけになりがちだった相談が、自分の言葉で「私はこういう人間です!」と熱意を持って伝えられる場へと進化します

私立高校の先生たちも、この変化に注目しています。公立が文章での評価を重視し始めたことで、私立としても生徒の人間性や意欲をより深く見るようになります。偏差値がほんの少し基準に届かなくても、自己評価資料に書くような熱い想いや具体的な将来の夢を語ることができれば、先生の心を動かして確約を引き出すチャンスが増えるかもしれません。

また、自己評価資料を作ることで「なぜその公立校に行きたいのか」「もしダメだった場合の私立校は、自分の夢を叶えられる場所か」ということを深く考えるようになります。単なる滑り止めではなく、「ここなら行きたい!」と思える納得のいく併願先を選ぶことができるようになります。令和9年度は数字の戦いだけでなく、自分の考えを伝える力も試される年なのです

全員面接の導入で私立の練習が大事に

公立高校の入試で「面接が全員必須」になることも、私立の併願戦略に大きな影響を与えます。これまでは一部の学校だけでしたが、令和9年度からは全員が面接官の前で話をします。そうなると、1月に行われる私立の入試や秋の個別相談会は、2月の公立本番に向けた「最高の実戦リハーサル」としての価値を持つようになります。

私立の個別相談会は、大人と1対1で話す貴重な機会です。ここで自分のことをしっかり話す練習をしておけば、公立の面接でも緊張せずに実力を出せるようになります。私立の先生から聞かれる志望理由や中学時代の思い出などは、公立の面接で聞かれることと多くが重なります。私立で「大丈夫だよ」と言ってもらえた成功体験は、大きな自信に繋がります

さらに、1月の私立入試本番で行われる面接も、公立に向けた大事な実戦です。確約をもらっていれば、もし私立の面接で少し失敗しても合格が取り消されることはありません。この安心な環境で実戦が積めるのは、公立が第一志望の人にとって最高のメリットになります。私立の先生も公立の面接を意識して、より教育的なアドバイスをくれるようになるかもしれません。

公立の調査書が変わるからこそ私立の「加点」が光る

令和9年度から公立の調査書(内申書)の形がシンプルになり、部活動や資格の記録が直接載らなくなります。公立高校ではこれらを「自己評価資料」という文章で評価するようになりますが、私立高校は依然として、これらを「数値的な加点」として評価し続ける予定です。つまり、同じ実績であっても、公立では面接の素材になり、私立では直接の点数ボーナスになるという評価の二重構造が生まれます。

この変化により、私立の併願確約をもらうための検定や部活動の価値は、これまで以上に高まります。公立入試で直接の点数にならなくなった分、私立でしっかり点数化してもらうことが、良い併願先を確保するための命綱になるからです。特に、偏差値が基準にわずかに届かない人にとって、私立の独自の加点ルールは、挑戦を可能にする最後の砦となります。

また、調査書がシンプルになる分、あなたが自分で持参する合格証書のコピーがますます重要になります。個別相談会で自らしっかり提示しなければ、加点を受けられないこともあるでしょう。自分の実績をいつでも証明できる形で整理しておくことは、将来の自分をアピールする力を養う良い機会になります。

私立高校側も公立が文章重視になったことを受けて、独自の加点メニューをより細分化させる可能性があります。自分の学校の教育方針に合った生徒をより高く評価するようになるでしょう。受験生は、公立対策として培った活動実績を私立入試でいかに「おトクな点数」に変えるか、戦略的に考えるのが令和9年度の賢いやり方です

マークシート入試と私立の記述対策

令和9年度から、公立高校入試のテストが「約9割マークシート方式」になります。マークシートは正確な知識を素早く選ぶ力が大切ですが、自分の考えを論理的に書く記述力のトレーニングがおろそかになりやすい心配もあります。ここで重要になるのが、併願する私立高校の入試問題です。

多くの私立高校、特に上位の進学校は、これからも独自の記述問題を出し続ける見通しです。確約をもらっている人でも、入試本番で高い点数を取ることは入学後のクラス編成や奨学金に直結します。公立の対策だけでは不足しがちな「書く力」を、私立の過去問で鍛えることは、結果的に公立入試の残り約1割の記述問題や、自己評価資料を書く力にも繋がります。

また、1月に記述式の私立入試を本気で受けることは、脳を活性化させます。2月の公立マークシート試験を余裕を持って解くための土台になるのです。公立が基礎力をしっかり測るテストなら、私立は考える力や表現力を試す場です。この2つの違うタイプの試験を両方頑張ることで、高校に入ってからも通用する本当の学力を身につけることができます。

令和9年度の皆さんへのアドバイスは「マークシートに甘えないこと」です。テストの形が変わっても、本当に必要な力は変わりません。私立の併願確約を早めに取って、その学校の難しい記述問題にチャレンジし続けること。それが、新しくなる公立入試をも攻略する一番の道になります。併願戦略はただのすべり止め確保ではなく、入試までの勉強の質を高く保つための大事な環境作りなのです。

入試の変更点 公立での扱い 私立併願における価値 やるべきこと
自己評価資料 全員が提出する義務

相談で自分の熱意を伝える武器

夏から自分の強みをまとめよう

全員に面接 全員が対象・点数化

個別相談が良い実戦練習になる

大人との対話に慣れて自信を持とう

調査書の簡素化

活動記録の記載がなくなる

独自の数値加点制度が存続

検定などの証拠書類を完璧に揃える
マークシート 約9割が選択式に 記述式過去問で思考力を維持 私立の記述問題で応用力を磨く

確約がない例外校と上位校のハイレベルな併願戦略

早慶・立教などは確約がない「一発勝負」

埼玉県には多くの私立高校がありますが、全ての学校に確約があるわけではありません。例えば、慶應義塾志木、早稲田大学本庄高等学院、立教新座といった大学附属の最上位校には、個別相談で合格を約束する仕組みは一切ありません。これらの学校は偏差値がどんなに高くても、当日の試験の点数や調査書、面接で合否が決まる「ガチンコ勝負」の学校です

これらの学校を受けたい人にとって、併願戦略は非常に重要です。確約がないということは、当日の体調や問題の相性で不合格になるリスクが常にあるからです。そのため、これらの最難関校に挑む人は、1月の早い時期に、北辰テストを使って「別の確約をもらえる上位私立校(栄東や開智など)」をしっかり確保しておくのが鉄則です。これで万が一のときでも進路を確保した状態で、公立トップ校への挑戦を続けることができます。

また、確約のない学校の入試問題は公立高校の問題とは次元が違う難易度です。中学範囲を超えた高度な思考力が要求されるため、専門的な対策が不可欠です。令和9年度の公立入試がマークシート化されることで、こうした難関私立の問題との乖離はさらに広がります。挑戦する人は、難関私立の対策を軸にしつつ、公立の面接や自己評価資料の準備を効率的にこなす高度な計画性が求められます。

保護者の方は、お子様がこうした高い目標に挑むときは、その勇気を応援しつつ、確実な安全網(確約校)の質にも目を向けてください。確約のない学校への受験は精神的にもハードです。1月のカレンダーの中に「ここで確実に合格を取っておく」という安心のポイントを事前に作っておくことが、最後に笑顔で終わるための秘策になります。

上位校の「併願A・B」とコーススライド

偏差値が高い進学校の中には、併願の種類を細かく分けているところがあります。よくあるのが「併願A」と「併願B」という区分です。例えば併願Aは「私立の中ではうちを第一志望にしてね」という約束で、併願Bは他の私立との併願も認める、といった違いがあります。一般的に併願Aの方が基準が少し低く設定されているので、その学校への志望度が高い場合に有利になります。

また、上位校では複数のコースが設けられており、個別相談の段階でどのコースで確約を得るかが焦点となります。ここで重要なのが「スライド合格」という仕組みです。たとえ相談時に真ん中のコースで確約を得ていても、入試本番で非常に高い点数を取れば、合格発表時に上のコースへ格上げ合格させてくれることがあります。逆に、本番の点数が低すぎると下のコースに下がるスライド不合格のルールがある学校もあります。

令和9年度の皆さんは、このスライド合格をぜひ狙ってみてください。公立がマークシートになる分、記述問題が得意な人が私立入試で実力を発揮すれば、当初の予定よりもハイレベルな学習環境を勝ち取れるチャンスがあるからです。個別相談で「本番で何点取れば上のコースに行けますか?」と具体的に聞いておけば、冬休みの勉強のモチベーションも高まります。

上位校の併願は、ただの合格確保ではなく、入学した後にどのレベルのクラスでスタートするかを決める大事なレースでもあります。上位コースで合格し、特待生の権利を得ることができれば、家計への負担も大幅に軽減されます。確約をもらった後も学力を伸ばし続けて、その保証の価値を最大化させるという攻めの姿勢を忘れてはなりません。

塾の模試や市学力検査はどこまで使えるか

私立の確約には北辰テストがメインで使われますが、それ以外のテスト結果を考慮してくれる学校もあります。さいたま市などで実施される「市学力検査(校長会テスト)」がその代表です。北辰テストほど受ける人数は多くありませんが、中学校で実施される信頼度の高いテストなので、北辰でたまたま失敗してしまったときに、この結果を補完材料として使ってくれる高校があります

また、大手塾が実施する難関校向けの模試や、御三家模試などの結果を相談のときに見てくれる学校もあります。特に偏差値70を超えるようなトップ層の場合、北辰テストでは差がつかないこともあるため、より難しい模試の結果を提示することで、特待生などのハイレベルな確約を引き出せる可能性があります。

ただし、どのテストをどのように評価するかは学校によって完全に異なります。基本はやはり北辰テストで基準を超えることですが、もし北辰で良い数字が出なかった場合は、塾の先生に相談したり、個別相談の場で塾の模試の結果などを正直に伝えてみたりする価値はあります。高校側も優秀な生徒を確保したいと考えているため、説得力のあるデータがあれば柔軟に対応してくれることもあります。

令和9年度は制度が変わる年なので、高校側も多様な方法で生徒を評価しようとしています。一つのテスト結果に一喜一憂するのではなく、自分の学力を多角的に証明できる資料を集めておくことが、例外的な成功を掴むための秘訣です。個別相談のファイルには北辰カードだけでなく、学校のテスト結果や塾の記録も整理して入れておきましょう。

確約をもらった後の「中だるみ」を防ぐ

併願確約を得た受験生が陥りやすい最大の罠が、冬休み以降の中だるみです。「もう行く場所が決まった」という安心感は、時として学習の集中力を削ぎます。しかし、埼玉の入試カレンダーでは私立入試(1月)から公立入試(2月)まで1ヶ月以上の開きがあり、この期間の学習量が公立入試の成否を分けるだけでなく、高校入学後のスタートにも大きく影響します。

メンタル管理のコツは、確約を「合格」ではなく「挑戦権」と定義し直すことです。併願確約があるからこそ、公立入試で自分の限界を超える高みに挑戦できるのだ、というポジティブな意識を持ちましょう。また、前述したコーススライドや特待生合格を目標に据えることで、確約後の学習に具体的なメリットを持たせることも有効です。

令和9年度は公立入試に面接や自己評価資料が加わるため、勉強ばかりでは息が詰まるかもしれません。確約を得た後は、適度に面接の練習や自己分析を挟むことで、学習にメリハリをつけることができます。また、私立の過去問演習を「公立に向けた高度なトレーニング」と捉え、マークシートでは測れない思考力を磨く喜びを見出すことも中だるみ防止に役立ちます。

保護者の方は、確約を得たお子様に対して「おめでとう、でもここからが本当の本番だよ」という温かい励ましを続けてほしいと思います。確約という安心を、怠慢ではなく勇気に変えられるかどうかが、長い受験勉強の最後を笑顔で締めくくるための最大の分岐点となります。埼玉の受験生は、この独特の制度に守られながら、同時に自分を律する強い心も育てていくのです。

学校のカテゴリー 代表的な学校名 確約の有無 戦略のアドバイス
大学附属最上位

慶應志木、早稲田本庄、立教新座

無し

当日の実力勝負。必ず別の確約校を併用する

県内トップ進学校

栄東、開智、大宮開成、淑徳与野

有り

偏差値70前後が必要。特待生合格を目指す

準上位進学校

川越東、春日部共栄、西武文理

有り

公立上位校の併願として定番。スライド合格を狙う
大学附属(中堅)

獨協埼玉、城北埼玉、星野

有り

附属の安心感と進学校の厳しさを両立できる

12月から入試本番までのスケジュール管理と出願の注意点

12月の三者面談で併願校を最終決定

12月は併願戦略における最終決定の月です。12月初旬に実施される北辰テスト(第7回)の結果が返ってくる中旬に、手元にある全ての材料を並べて、出願する私立高校を確定させます。基準に届かず、それまでに確約を得られなかった生徒にとっては、この12月の個別相談会が、確約を勝ち取るための文字通り最後の戦場となります

中学校ではこの時期に三者面談が行われます。ここでは、私立の確約状況を担任の先生に正確に報告し、正式にどの学校を受験するかを伝えます。埼玉県の中学校では、私立の確約状況が公立高校への出願を判断するための重要な材料となります。12月までに「自分はここに行く可能性がある」と納得できる場所を確保しておくことが、学校との関係を円滑にする上でも欠かせません

また、12月からは私立高校のネット出願が開始されます。最近の私立入試はほぼ全てがインターネットを通じた出願です。ここで最も注意すべきは、個別相談で得た確約をシステムにどう反映させるかです。多くの学校では、相談時に発行された「相談番号」を入力する欄があり、これを入れることで初めて確約保持者としての優遇が適用されます。入力ミスは確約の失効に繋がりかねないため、親子で慎重に進めましょう。

令和9年度入試では、公立高校もデジタル出願に移行している可能性がありますが、私立の締め切りは1月中旬と非常に早いです。年末年始の慌ただしい時期に重なるため、受験料の支払い忘れや書類の遅延がないよう、スケジュールを厳重に管理してください。この事務的な手続きの完遂こそが、確約という権利を現実の合格に変えるための最後のステップです。

1月の私立入試と合格後の手続き

1月22日から始まる私立入試本番、確約を得ている皆さんにとっては「確認」の意味合いが強いですが、事務的には重要な手続きが待っています。合格通知を確認した後、最初に行うべきは入学金(または延納金)の支払いの確認です。併願確約の場合、公立高校の合格発表(3月上旬)まで入学手続きを待ってくれる「延納制度」が利用できますが、そのためには「延納手続きのボタンを押す」などのアクションが必要です。

この延納手続きを忘れてしまうと、たとえ確約を得て合格していても、入学の権利が自動的に消滅してしまいます。毎年、この手続きミスで公立不合格時に行く場所がないという窮地に陥る受験生がいます。ネット上の画面で手続き完了をしっかり確認し、その画面を保存しておく慎重さが必要です。私立の合格は安心材料ですが、手続きを完了させて初めて「本物の保険」になります。

また、1月の私立入試で特待生合格などのより良い条件が得られた場合、第一志望の公立との天秤が揺れることもあるでしょう。その際も、まずは公立を優先するのか、あるいは私立の特待生として進学するのかを、家族で冷静に話し合ってください。併願確約は公立不合格時の保険ですが、合格通知を手にした瞬間に、それが魅力的な選択肢に変わることもあります。

私立入試が終わると、中学校に合格の報告を入れます。これにより、学校側も安心して2月の公立入試に向けた書類の最終発送作業に入ることができます。受験生本人は、この1月の「一勝」を糧にして、いよいよ最大の難関である公立高校入試への最終調整に突入することになります。

公立入試の「志願先変更」を支える私立合格

2月の公立高校入試の出願後には、一度だけ「志願先変更」ができる期間が設けられています。公立の倍率が確定した直後に、倍率の高さや自分の最新の学力を考慮して、志望校を変更するかどうかを判断する最後のチャンスです。この際、精神的な支柱となるのが、1月に確保した私立高校の併願合格です。

「もし公立に落ちても、あの私立に行けるから大丈夫」という確信があれば、たとえ倍率が高くても、第一志望を貫く勇気が湧いてきます。逆に、併願校に納得がいっていなかったりすると、弱気になって志望校を下げてしまい、結果として後悔を残すことになりかねません。私立確約の質は、公立入試における攻めの姿勢を担保する、戦略的な「お守り」のような役割を果たします。

令和9年度入試からは、公立に「特色選抜」が導入され、各校が独自の選抜基準を持つようになります。自分が受けようとしている公立校の選抜方法が自分にとって有利なのか不利なのかをギリギリまで見極める際にも、私立の合格という戻る場所があることは、冷静な判断を助けます。マークシート方式への不安や、面接の緊張というプレッシャーの中で、唯一の確定した未来である私立合格を最大限に利用してください。

志願先変更を行う場合は、中学校の先生や塾の先生と密に連絡を取り、短時間で書類を整える必要があります。このドタバタの中でも、私立の合格証が手元にあることは、保護者にとっても心の平穏をもたらします。受験は情報戦であり心理戦でもあります。確約制度という埼玉特有のシステムは、この心理戦を勝ち抜くための、公式には認められない「最強の裏技」なのです。

当日のトラブル対策と「確約不合格」の例外

最後に、確約があっても不合格になる極めて稀なケースに触れておきます。高校の先生が大丈夫と言った以上、合格はほぼ100%保証されますが、以下の場合は例外です。

  1. 欠席・遅刻:試験当日に会場に来なかった場合。やむを得ない事情がある場合はすぐに連絡し、追試験などの制度を確認しましょう。
  2. 白紙答案・極端な低得点:全ての解答を空欄で出すなど、受検の意思がないと見なされる行為は確約を無効にします
  3. 不正行為(カンニング):これはいかなる確約も無力化します。
  4. 面接での著しい不適格:挨拶ができない、反社会的な言動をする、といった態度は合格を危うくします

確約をもらった後も、一人の受験生として、そして一人の人間として、誠実に生活を送ることが合格への最後の詰めとなります。令和9年度は公立入試のマークシート化により、私立の記述問題が難しく感じるかもしれませんが、焦る必要はありません。確約があるという事実は、あなたがその学校の合格水準にあることを、高校の先生が事前に認めたという証拠です。

自信を持って鉛筆を動かし、自分の実力を出し切ることだけに集中してください。トラブルが起きたときは落ち着いて学校や親に相談すること。それが、長い受験勉強の最後を飾る、最も重要なサバイバルスキルです。

時期 ステップ アクションと注意点
12月中旬

三者面談・併願校確定

私立の確約状況を担任に正確に伝え、公立の出願を承認してもらう

12月下旬

私立ネット出願

相談番号の入力漏れに注意。受験料の振込確認

1月22日〜

私立入試本番

確約がある安心感を持って、全力で全問解答を目指す

1月末 私立合格・延納手続き 延納ボタンの押し忘れや一時金の支払い期限を厳守
2月中旬

公立志願先変更

私立の合格を盾に、倍率や実力を見極めて最終決断

3月上旬 公立合格発表・私立手続き 公立不合格時は速やかに私立への入学金を全額納入

まとめ|埼玉県私立高校併願確約とは?令和9年度入試を成功させる10の要点

  • 埼玉の「確約」は個別相談でもらえる合格の約束で、公立への挑戦を支えてくれる。
  • 判定に使われるのは「北辰テストの偏差値」と「通知表の内申点」で、中3の7月以降が重要。
  • 令和9年度入試でも確約制度は続くが、公立の面接や自己評価資料の準備とセットで考えよう。
  • 英検・漢検・数検などの資格は、内申加点や偏差値緩和として機能するボーナスになる。
  • 早慶附属などの最難関校には確約がないので、他の学校の確約も取っておくのが鉄則。
  • 相談会で「安心して受けてください」と言われたら、それが確約をもらえた合図。
  • 北辰テストは1回失敗しても大丈夫。上位2回の結果を見てくれる学校が多い。
  • 冬のネット出願では、個別相談でもらった「相談番号」を忘れずに入力しよう。
  • 公立がマークシートになっても、私立の記述対策を続けることで、考える力がもっと伸びる。
  • 私立の合格があるからこそ、公立の志願先変更で悔いのない強気の判断ができる。