こんにちは!元塾講師・家庭教師で、現在は教育プランナーとして多くのお子さまの進路をサポートしているショウです。埼玉県にお住まいの中1・中2生の皆さん、そして保護者の皆様、いよいよ令和9年度(2027年度)入試に向けた「新しい埼玉の入試」が始まろうとしています。
埼玉県教育委員会が公表している最新の実施方針によると、現在の中学2年生が受検する令和9年度入試から、制度が根本から変わります。採点方式から評価項目、提出書類に至るまで、これまでの常識が通用しない大規模な改革が行われることになりました。
「中3になってから本気を出せばいい」という考えは、この新制度においては非常に危険です。特に調査書の扱いや新設される面接、そしてマークシート方式の導入は、合否を左右する決定的な要因となります。情報のアップデートが遅れることは、それだけで大きな不利になりかねません。
そこで今回は、教育プランナーの視点から、中1・中2の今だからこそ絶対に知っておくべき「埼玉の高校入試を左右する3つの重要項目」について、最新の公式データに基づき徹底解説します。この記事を読めば、明日からの学習習慣や学校生活の送り方が明確に変わるはずです。
埼玉の高校入試で最重要となる「調査書」の変更点と内申点の計算
調査書の点数化対象が「評定」のみに限定される理由
令和9年度入試からの最も大きな変更点は、調査書の「点数化」の範囲が大幅に絞られることです。これまでは英検や漢検の資格、部活動の県大会出場、委員会活動の実績などが、高校ごとに独自の基準で加点されていました。しかし新制度では、これらの項目は調査書の点数(数値評価)には含まれなくなります。
新制度における調査書の得点は、純粋に「各教科の学習の記録(9教科5段階の評定)」のみで算出されます。つまり、中学校から高校へ送られる公式な「数値」は、通知表の成績だけになるということです。これは、点数計算のブラックボックス化を防ぎ、学習評価の透明性と公平性を高めることが目的です。
では、部活動や資格が無意味になるのかというと、決してそうではありません。それらは後述する「自己評価資料」に受検生自身が記載し、「面接」の際の評価材料として活用される仕組みへと移行します。つまり、「持っているだけで加点」ではなく、「どう取り組んだかを語る材料」へと役割が変わったのです。
中1・中2の皆さんが今すべきことは、まずは定期テストや授業態度を改善し、1点でも高い評定(5段階評価)を勝ち取ることです。提出物の精度や小テストの結果が、ダイレクトに入試の持ち点に直結します。主要5教科はもちろん、実技4教科でも手を抜かずに「5」や「4」を狙う姿勢が、これまで以上に合格を引き寄せます。
合否を分ける1・2年次からの「学年比率」の仕組み
埼玉県の内申点評価において、中1・中2の皆さんが絶対に忘れてはならないのが「学年比率」の存在です。埼玉県の公立高校入試では、中3の成績だけでなく、中1から中3までの全学年の評定が合否判定に使用されます。各高校はこの比率を「1:1:2」や「1:1:3」といった形で、県が定めた基準の中から独自に選択します。
例えば、多くの進学校が採用する「1:1:3」という比率の場合、中1と中2の成績はそれぞれ全体の20%ずつ、合計で40%を占めることになります。中3の重みは確かに大きいですが、中1・中2での「45点満点」の結果が、入試本番で逆転不可能なほどのアドバンテージ、あるいは「取り返せない負債」になる仕組みです。
最新の公式資料でも、各学年の満点は「9教科×5段階=45点」であり、これが基本点となります。中1・中2の段階で「まだ受験は先だから」と通知表を放置してしまうと、中3でどんなに偏差値を上げても、過去の低い評定が足を引っ張り、志望校をランクダウンせざるを得ない事態を招きかねません。
特に、埼玉県では当日点(学力検査)と調査書の比率が高校ごとに設定されていますが、調査書の配点が大きい学校では、1・2年次の1点の重みが非常に増します。今この瞬間の定期テスト対策こそが、令和9年度入試の最初の「本番」であるという意識を持って、日々の学習に取り組んでいく必要があります。
埼玉の高校入試で新設される「面接」と「自己評価資料」の対策
全受検生が作成する「自己評価資料(My Voice)」の書き方
令和9年度入試から、全ての受検生に提出が義務付けられるのが「自己評価資料」です。愛称として「My Voice(マイ・ヴォイス)」とも呼ばれるこの資料は、調査書から削除された部活動の実績や検定・資格、学校内外での活動を、受検生自身が記載する書類です。これまでは先生が書いていた実績を、自分の手でアピールすることになります。
この資料は単なる実績のリストではありません。自分がどのような目的を持ってその活動に取り組み、そこから何を学び、高校入学後にそれをどう活かしたいのかという「思考のプロセス」を表現する場です。自分の強みや個性を言語化し、自分自身を客観的にプレゼンテーションする力が、中学卒業段階で明確に問われることになったのです。
自己評価資料そのものに点数がつくわけではありませんが、この資料は次に説明する「面接」の極めて重要な基礎資料となります。面接官はこの資料を読み込み、受検生の個性や意欲を深掘りするための質問を組み立てます。そのため、嘘偽りのない、かつ論理的で説得力のある記述を準備しておく必要があります。
中1・中2の皆さんは、今取り組んでいる部活動や委員会、校外活動、検定試験などにおいて、「なぜそれを頑張っているのか」「どんな困難があり、どう乗り越えたか」をメモに残しておくことをお勧めします。日々の些細な経験も、言語化しておくことで将来の自己評価資料の貴重な素材となります。自分だけの声を磨き上げることが、新入試突破の鍵です。
数値化される「個人・集団面接」の評価基準と準備
新制度の最大の目玉が、全ての受検生に対して実施される「面接」です。これまでは一部の学校や学科でのみ実施されていましたが、令和9年度からは全公立高校で必須となります。面接は原則として全ての高校で実施され、共通選抜において「30点」または「60点」といった形で明確に数値化され、合否判定に加算されます。
評価の観点は県から示されており、「主体的・協働的な学びの力」と「自らの人生や社会の未来を切り拓く力」の2つが柱となります。単に礼儀正しく受け答えができるかだけでなく、自分の考えを他者にわかりやすく伝え、他者と協力して課題を解決しようとする意欲があるかどうかが、厳しく、そして公平にチェックされます。
面接の質問例は、自己評価資料に書かれた内容に基づいた具体的なエピソードが中心になると予想されます。丸暗記した回答ではなく、その場の対話を通じて自分の人間性や適性を伝える力が必要です。この30点や60点という配点は、ボーダーライン上の争いでは極めて大きな意味を持つため、決して軽視できない項目となります。
対策として有効なのは、学校生活の中で「自分の考えを言葉にする」機会を増やすことです。授業中の発言や行事での役割、仲間との話し合いなど、日常のあらゆる場面が面接の練習になります。中1・中2の今のうちから、周囲と協力して何かに取り組む経験を大切にすることが、結果として最も効果的な入試対策に繋がるのです。
埼玉の高校入試がマークシート方式へ!当日点の出題傾向の変化
9割がマーク式!国語の作文廃止と解答形式の変更
令和9年度入試より、学力検査(当日点)の解答方式が大きく変わります。これまで記述式が中心だった埼玉県の入試ですが、新制度では全5教科において「マークシート方式」が導入されます。具体的には、配点の約9割がマークシート式となり、記述式の問題は全体の1割程度にまで削減されることが決定しています。
この変更に伴い、国語で長年出題されてきた「作文(200字程度の記述)」が廃止されるという重大な決定がなされました。これまで作文で得点をもぎ取ってきた受検生にとっては、読解問題や知識問題での一問一答の正確性が、よりシビアに求められるようになります。一箇所のマークミスが合否を分ける、非常に緊張感のある試験へと変貌します。
マークシート化の背景には採点の迅速化と公平性の確保がありますが、受検生にとっては「紛らわしい選択肢に惑わされない力」が試されます。単に用語を覚えるだけでなく、その意味や背景を正しく理解し、他と区別できるレベルまで習得していなければ、マークシート特有の「ひっかけ問題」に足元をすくわれることになります。
中1・中2の皆さんは、普段の学習から「なぜその答えになるのか」という根拠を明確にする習慣をつけてください。また、今後はマークシート形式の模試も増えてくることが予想されます。鉛筆での塗りつぶし作業や時間配分の感覚など、新形式に特化したトレーニングを早期に取り入れることが、合格への必須条件となります。
上位校の鍵を握る「学校選択問題」の継続と攻略
解答方式がマークシート主体に変わる一方で、進学校を中心に実施されている数学と英語の「学校選択問題」は継続される見通しです。これは、標準的な問題(共通問題)では受検生の能力差を測りきれない一部の高校が、より難易度の高い応用問題を独自に課す仕組みです。マーク式であっても、この「難しさ」は維持されます。
学校選択問題を採用する学校を目指す場合、単なる記号選びの練習だけでは不十分です。例えば数学では、正解に至るまでの論理的な思考プロセスがなければ、複雑な選択肢から正しい答えを導き出すことはできません。また、残る1割の記述問題において、証明問題や短文記述といった「書かせる力」が重点的に問われる可能性もあります。
英語についても、リスニングテストは継続して実施されます。マークシート化により、スペルの書き間違いによる減点は減るかもしれませんが、その分、正確な聞き取り能力や長文を素早く正確に読み解く読解力が、これまで以上に大きなウェイトを占めることになります。語彙力を強化し、一文の構造を即座に見抜く基礎体力を中1・中2のうちに養っておきましょう。
| 項目 | 変更前(旧制度) | 変更後(令和9年度〜) |
| 解答方式 | 記述式中心 | マークシート方式(9割程度) |
| 国語の作文 | 実施あり(200字程度) | 廃止 |
| 英語のリスニング | 実施あり | 継続実施 |
| 数学・英語の種類 | 共通問題/学校選択問題 | 継続(学校選択問題もマーク式導入) |
埼玉の高校入試の新枠組み「共通選抜」と「特色選抜」の違い
全校共通のルールで判定される「共通選抜」の評価構造
令和9年度入試からは、選抜の枠組みが「共通選抜」と「特色選抜」の2種類に整理されます。まず、全ての高校・学科で実施されるのが「共通選抜」です。これは従来の選抜方法に近いもので、学力検査(500点)、調査書(内申点)、面接の結果を総合して合格者を決定します。全受検生が必ず通るメインの選抜枠です。
共通選抜において注目すべきは、各高校が独自に設定する「学力検査と調査書の比率」です。一部の学校では、特定の教科の点数を1.5倍〜2倍にする「傾斜配点」を導入することも可能になります。例えば、「理数科だから数学と理科の点数を高く評価する」といった柔軟な選抜が行われるため、自分の得意教科が活きる学校選びがこれまで以上に重要になります。
共通選抜は通常、第1次選抜と第2次選抜の2段階で行われますが、新制度では面接の点数がどちらの段階でも加算されることになります。内申点をしっかり確保しつつ、当日点でも高得点を狙い、さらに面接で意欲をアピールするという「全方位的な準備」が求められるのが、新しい共通選抜の特徴です。
中1・中2の段階では、まずこの共通選抜で戦える「総合力」を身につけてください。内申点をしっかり確保しつつ、5教科の学力に穴を作らないことが、志望校選びの選択肢を広げる最大の方法です。特に新設される面接の配点を含めたトータルスコアで競うことになるため、勉強以外の学校生活も全力で楽しむことが、合格への近道となります。
学校独自の個性を重視する「特色選抜」と傾斜配点
共通選抜に加えて、一部の高校が独自に導入するのが「特色選抜」です。これは、特定の分野に強い意欲や適性を持つ生徒を評価するための枠組みで、共通選抜の資料に加え、「特色検査(実技検査、作文・小論文)」などが課されることがあります。例えば、スポーツ、芸術、科学といった特定の分野で卓越した力を発揮したい生徒向けの選抜です。
特色選抜の大きな特徴は、高校が独自の判断で特定の資料の配点を高く設定できる点です。特定の教科を重視する傾斜配点を適用し、「数学が抜群にできる生徒」や「英語が非常に得意な生徒」を重点的に採用することも可能になります。これにより、5教科平均型ではない「尖った才能」を持つ生徒にも門戸が広がっています。
具体的には、特定の学科において「英語での面接」や「専門的な実技テスト」を行うなどのケースが想定されています。自分の好きなことや得意なことが明確な受検生にとって、特色選抜は非常に有利な制度と言えるでしょう。ただし、実施する高校や定員枠は限られているため、事前の入念な情報収集が欠かせません。
特色選抜を視野に入れるなら、最新の「選抜実施内容」を必ずチェックしてください。令和8年5月頃には各校の詳細が公表される予定です。中1・中2の今は、自分の強みが何であるかを探求し、それを証明できる実績やスキルを意識的に磨く時期です。特色選抜は、あなたの「個性」を合格へと導くパスポートになるかもしれません。
まとめ|中1中2は今すぐ確認
- 令和9年度入試は「学力検査+調査書+面接」の3項目で合否が判定される。
- 調査書の点数化対象は「9教科の評定(内申点)」のみに限定される。
- 内申点は中1・中2の成績も高い比率で合否に関わるため、今からの対策が必須。
- 学力検査の解答方式が、配点の約9割を占める「マークシート方式」に変更される。
- 国語の「作文」は廃止されるため、読解力と知識問題の正確性が重要になる。
- 「学校選択問題(数・英)」は継続されるため、上位校志望者は応用力の強化を。
- 全ての受検生に「面接」が義務化され、30点〜60点の配点がつく。
- 「自己評価資料(My Voice)」を自分で作成し、面接の材料として提出する。
- 部活動や資格の実績は、自己評価資料と面接でアピールする形になる。
- 「共通選抜」に加え、独自検査や傾斜配点を行う「特色選抜」が導入される。






